タバコはお口の天敵です
タバコは「百害あって一利なし」と言われますが、お口の健康にも深刻な影響を及ぼすことをご存じでしょうか。
タバコの煙には4000種類以上もの化学物質が含まれ、そのうち発がん物質はなんと60種類にも及びます。
そして、その煙が最初に触れる場所はお口の中。歯や歯ぐき、舌、頬の粘膜などは常にタバコの熱と有害物質にさらされてしまいます。
喫煙が続くと、歯ぐきの血流が悪くなり、酸素や栄養が届きにくくなります。その結果、歯ぐきに炎症が起きても出血しにくく、見た目には健康そうに見えても、実際には歯を支える骨が静かに壊れていく「隠れ歯周病」が進行してしまいます。しかも、治療をしても治りにくいのです。
さらに、タバコは唾液の分泌を減らし、お口の中の自浄作用を弱めます。そのため、むし歯菌や歯周病菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因にもなります。歯の表面にヤニがこびりつき、黄ばみや汚れが目立つようになるのも喫煙の特徴です。また、舌や頬の粘膜が刺激を受け続けることで口内炎ができやすくなり、長期的には「口腔がん」や「咽頭がん」の発生率が非喫煙者の約3倍に高まるという報告もあります。タバコは見た目の印象だけでなく、命にも関わるリスクを高めてしまうのです。
そして忘れてはならないのが、喫煙による周囲への影響です。タバコの煙には、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」と、火のついたタバコの先から立ち上る「副流煙」があります。
実はこの副流煙には、主流煙よりも高濃度の有害物質が含まれていることがわかっています。
ニコチンは約3倍、一酸化炭素は約5倍、アンモニアはなんと50倍以上ともいわれ、受動喫煙による健康被害は喫煙者本人より深刻になることがあります。
特に子どもや高齢者、妊婦さんにとっては、ほんの少しの煙でも大きな影響を及ぼす可能性があります。歯ぐきの血流障害や歯周病リスクは、同居している非喫煙者にも及ぶという研究報告もあります。
禁煙を始めると、体はすぐに良い変化を見せます。数日で口の中の血流が改善し、食べ物の味や香りを感じやすくなります。
数週間で歯ぐきの色が健康的なピンク色を取り戻し、口臭も軽くなっていきます。定期的に歯科医院でクリーニングを受ければ、ヤニ汚れも少しずつ落ち、見た目の印象も明るくなります。
タバコをやめることは、お口だけでなく全身の健康を守る第一歩です。自分の健康はもちろん、大切な家族や仲間を守るためにも、今日から禁煙を意識してみましょう。歯科医院では禁煙支援やお口のケアのサポートも行っています。
清潔で健康なお口と、心からの笑顔を取り戻すお手伝いを、私たちは全力で応援します。

