「DENTURE CARE」
新しい入れ歯を作った当初は、しっかりとフィットし、快適に食事ができるかもしれません。しかし、入れ歯を作ったからといって、それをそのまま何年も同じように使い続けることはできるのでしょうか。実は、入れ歯は時間とともに変化し、少しずつ問題が生じる可能性があります。
まず、人工歯の部分は毎日の使用によってすり減っていきます。特に硬いものをよく噛む習慣がある方や、歯ぎしりをする方は、摩耗が進みやすくなります。人工歯がすり減ると、最初は気づきにくいかもしれませんが、噛み合わせが微妙に変化し、食事の際に違和感を覚えるようになります。噛む力が適切に伝わらなくなり、食べ物をしっかり噛み砕くことが難しくなることもあります。
また、入れ歯を支える歯ぐきも時間とともに変化します。歯ぐきは加齢や日常の噛む力の影響で徐々にやせていきます。歯ぐきがやせると、入れ歯と歯ぐきの間にすき間ができ、入れ歯が安定しにくくなります。結果として、入れ歯が浮いたり、ずれたりすることで、噛みづらさを感じるようになるでしょう。この状態が続くと、口内炎の原因になったり、食事や会話の際に入れ歯が外れやすくなったりする可能性があります。
さらに、噛み合わせの変化は、口の中だけでなく顎関節にも影響を及ぼします。適切な噛み合わせが保たれていないと、顎の関節に余計な負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症の症状には、口を開け閉めする際の痛みや違和感、カクカクとした音がすること、ひどい場合には頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。こうした症状が続くと、日常生活に支障をきたすこともあるため、注意が必要です。
このように、入れ歯を長期間使用していると、さまざまな問題が生じる可能性がありますが、それを防ぐためには定期的なメンテナンスが重要です。入れ歯を適切に使い続けるためには、歯科医院で定期的に噛み合わせのチェックを受けることが推奨されます。噛み合わせをチェックし、必要に応じて調整することで、入れ歯が常に正しい位置で機能するようになります。これにより、歯ぐきや顎関節への負担を軽減し、入れ歯の寿命を延ばすことができるのです。
また、入れ歯の清掃も欠かせません。食後に入れ歯を取り外して専用のブラシや洗浄剤を使って清潔に保つことが大切です。汚れが溜まると口臭の原因になったり、口腔内の健康に悪影響を及ぼしたりすることがあります。加えて、就寝時には入れ歯を外して歯ぐきを休ませることも大切です。長時間入れ歯をつけたままにしていると、歯ぐきに過剰な圧力がかかり、炎症を引き起こすことがあります。
このように、入れ歯は作ったら終わりではなく、適切なケアと定期的な調整が必要です。自分では気づかないうちに、入れ歯の状態や噛み合わせが変化していることがあるため、歯科医院でチェックを受けることをおすすめします。定期的なメンテナンスを行うことで、入れ歯の快適さを維持し、長く安心して使い続けることができるのです。