「Dental Floss care」
歯ブラシを正しく持ち、正しく歯にあて、正しく動かしても、歯ブラシの毛先は歯と歯の接点には入り込めません。これは、歯ブラシの構造上の特性によるものです。通常の歯ブラシの毛は一定の太さがあり、毛先が細いタイプであっても、歯と歯の間の狭い隙間に完全に入り込むことは難しいのです。そのため、いくら丁寧に歯を磨いても、歯と歯の間に残った汚れを完全に取り除くことはできません。
むし歯の原因となる細菌は、プラーク(歯垢)の中に潜んでいます。この細菌の大きさは、歯ブラシの毛一本の太さの約1/200と非常に小さく、歯と歯の接点にも容易に入り込むことができます。一度入り込んだ細菌は、そこで酸を作り出し、エナメル質を溶かし始めます。その結果、歯の隙間にむし歯が発生しやすくなります。特に、歯と歯の間にできるむし歯は、初期の段階では気づきにくく、進行すると大きな治療が必要になることもあります。
こうしたリスクを軽減するためには、デンタルフロスを使用することが重要です。デンタルフロスは、細い繊維でできた清掃用具で、歯と歯の間に入り込み、歯ブラシでは届かない部分の汚れやプラークを効果的に取り除くことができます。特に、歯間のプラークを除去することで、むし歯や歯周病の予防に大きな効果を発揮します。
デンタルフロスの使用方法は、最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れると簡単に使えるようになります。適切な長さ(約40cm程度)にカットし、両手の指に巻きつけるか、輪にして、歯と歯の間にやさしく挿入します。無理に力を入れると歯ぐきを傷つけてしまう可能性があるため、ゆっくりと動かしながら汚れを取り除くことがポイントです。また、フロスを前後に動かしながら歯の側面をこすり、プラークをしっかり除去することが大切です。
デンタルフロスには、ワックス付きのものや無香料のもの、ホルダー付きのものなど、さまざまな種類があります。初心者の方にはホルダー付きのフロスがおすすめです。ホルダー付きのものは持ちやすく、手軽に使えるため、デンタルフロスを使う習慣をつけやすくなります。
デンタルフロスの習慣を身につけることで、歯と歯の間の汚れをしっかり除去し、むし歯や歯周病のリスクを軽減できます。歯ブラシだけでは不十分な部分を補うためにも、毎日の歯磨きに加えて、ぜひデンタルフロスを活用してください。
もしデンタルフロスの使い方がわからない場合は、お気軽にご相談ください。当院では、正しいフロスの使い方を指導し、患者様に合ったフロスの選び方についてもアドバイスを行っています。健康な歯を維持するために、毎日のケアを大切にしましょう。