最近の子供は正しい嚥下ができない?
最近、子どもたちの中に「正しい嚥下(えんげ)ができていない」ケースが増えています。嚥下とは、食べ物を口の中から喉へと飲み込む一連の動作のことです。
正しい嚥下では、舌が上あごにしっかりとつき、唇を閉じて鼻で呼吸しながら、食べ物をスムーズに飲み込む必要があります。しかし現代の子どもたちは、柔らかい食べ物を好む傾向や、口呼吸のクセ、スマホやゲームによる猫背などが原因で、この自然な嚥下ができなくなってきているのです。

嚥下がうまくできないと、さまざまな問題が起こります。まず、歯並びに悪影響があります。
正しく飲み込むときには舌が上あごに当たりますが、これができていないと、舌が前歯を押す「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」が起こり、前歯が前に出てしまったり、すき間が空いてしまったりする原因になります。特に、出っ歯や開咬(上下の前歯が閉じない状態)などの不正咬合が起こりやすくなります。
次に、発音にも影響します。舌の位置や動きが正しくないと、「サ行」や「タ行」の音がうまく発音できず、舌足らずな話し方になってしまうことがあります。また、学校の音読や人前で話す場面で自信を失ってしまうお子さんもいます。
さらに、姿勢にも関連しています。正しい嚥下には舌・口・首・肩といった上半身の筋肉がバランスよく使われる必要がありますが、嚥下機能が低下していると、口周りや首まわりの筋肉が弱くなり、猫背や顎が前に出た姿勢が定着してしまうこともあります。
姿勢が悪いと、呼吸や集中力にも影響を及ぼし、全身の健康にも悪循環をもたらすことがあるのです。

当院では、正しい嚥下ができているかどうかをチェックする「MFT(口腔筋機能療法)」にも取り組んでいます。
もし「クチャクチャ音を立てて食べる」「いつも口が開いている」「発音が不明瞭」などの気になるサインがある場合は、一度ご相談ください。
お子さまの健やかな成長のためにも、早めのチェックとトレーニングがおすすめです。

